コブクロ、ゴスペラーズ、福原美穂さん…。
誰もがきっと耳にしたことがあるミュージシャンの作品に参加し、セッションミュージシャンとして音楽界の一線で活躍しているギタリストがいます。
北海道が育んだ感性をギターの音色に乗せる江別市出身の福原将宣さんとは?


穏やかで優しい語り口でありながら、グルービーな演奏と小気味よいリズム感でたちまち観客を魅了してしまうギタリスト。福原さんは、日本の音楽界をリードする、数多くのトップアーティストのレコーディングやライブに参加するセッションミュージシャンです。音楽業界に馴染みがない方のためにほんの少しだけかみ砕くと、ミュージシャンからの指名はもちろん、ディレクターやプロデューサーの要望に応じて演奏するミュージシャンをコーディネートする、通称「インペグ屋」さんからの依頼に応じて、楽器と演奏する腕一本で現場に臨む音楽職人といった立場。BoA、BONNIE PINK、CHEMISTRY、JUJU、K、kiroro、m-flo、Misia、Skoop On Somebody、SOUL`d OUT、SOULHEAD、いきものがかり、伊藤由奈、今井美樹、大黒摩季、久保田利伸、クラムボン、コブクロ、ゴスペラーズ、倖田來未、湘南乃風、鈴木雅之、高野寛、中島美嘉、畠山美由紀、一青窈、平井堅、BINGO BONGO、ファンキーモンキーベイビーズ、福原美穂、森大輔、ゆず……。ライブサポートやレコーディングをしたアーティストの顔ぶれはそうそうたるもの!「なかでもつながりが深いのは、楽曲づくりから参加してバンドメンバーのようなつながりのあるコブクロや、年代が近いので昔からの友達のような感覚のゴスペラーズですね。デビューして売れているアーティストは、必ず”何か”を持っていると思うんです。実際本人に会ってみると、曲と真逆の印象を持つ人のこともあるし、想像以上に音楽を追求している人で勉強になることも。そんな刺激がほしくて多くのミュージシャンと組む音楽の道を選びました」と福原さん。同じメンバーでも、その日、その時によって演奏の音は変わるもの。歌とアーティストの間に何かが生まれる瞬間や、まるで誰かが乗り移ったように感じられる瞬間…。「いい意味で、音楽とはつくづく一期一会のものだと思います」と教えてくれました。

1970年10月3日生まれ。北海道江別市出身。
13歳より独学でギターを始める。
1989年に渡米。ボストンのバークリー音楽大学に入学。
1991年ロサンゼルスのM.Iを卒業。

帰国後、数々のライブセッションを始め1994年にNOBUCAINE
第四期ギタリストとしてオーディションにより加入する。
1996年のNOBUCAINE4thアルバム
「IGNITION」には自身アメリカ留学中に作曲した
「SILENT LAKESIDE」が収められている。
以後、セッションミュージシャンとして数々のアーティストの
レコーディング、ライブサポートに参加。

official web site http://www.m-fukuhara.com/
official blog http://ameblo.jp/gt-fukuhara/


生まれは江別市大麻。学校祭で演奏している先輩に影響を受けて、初めてエレキギターを持ったのが13歳のとき。「エレキギターを持った瞬間、身体を電流が走るような感じがして。『この先、音楽がやりたい!』と思ったのもこの時でした」。高校時代は仲間の影響でハードロックの世界に没頭。この時の練習が、今の基盤になっていると振り返ります。高校卒業後は、ボストンにある音楽の名門「バークリー音楽大学」へ進んだものの、10代の福原青年にはボストンの雰囲気は退屈だったこともあって休学。いつでもどこでもギターを弾ける環境に憧れて、ハリウッドの音楽学校「MI(MUSICIANS INSTITUTE)」で学び卒業します。「MIの環境は、本当にすばらしかった。土地柄、さまざまなライブが毎晩行われていたので、2日に1回はライブに出かけていましたね。ロックからジャズまでジャンルは問わず、とにかくいろんな演奏を聴きにいきました。アメリカ人が鳴らすギターの音は、日本人のそれとはあきらかに違うんです。その事に衝撃も受けたし、手元を見れば出身国がわかるようになりました。それだけ音にはミュージシャンの背景が現れるものなのです」。感性が豊かな10代に、福原さんはアメリカ人のサウンドをめいっぱい吸収して帰国します。音楽で食べていくことを心に決めて21歳で上京。専門学校で教えながら音楽活動を行っていた福原さんに転機が訪れたのは、23歳のときでした。第一線で活躍し、雲の上の存在である斉藤ノヴ氏が率いていた「NOBU CAINE(ノブケイン)」がギタリストを募集していることを知りチャレンジ。するとあれよあれよという間に合格し、最年少で第4期メンバーに選ばれたのです。実はこのオーディションは、応募者4人を観客のいるステージ上で競演させる異例のスタイル。オーディションの形式はもちろんのこと、最年少の若者が選ばれたことは音楽業界ではセンセーショナルな出来事でした。「なかなかない機会だから、思いっきりやってみようと思ったらエライことになっちゃって。今となれば、将来への期待を込めて選んでくれたのかな?と思う部分もあります。長くお世話になっていますが、斉藤ノヴさんは僕にとって親父のような存在。右も左もわからなかった当時、バリバリのミュージシャンだった斉藤ノヴさんとの出会いは、僕の音楽人生のなかでもっとも大きな出来事です」。こうして福原さんは、夢を自分の手元にたぐりよせていったのです。

北海道日本ハムファイターズの公式応援歌「LaLaLa FIGHTERS」、大泉洋さん主演の映画「探偵はBARにいる」


「北海道日本ハムファイターズ」の公式応援歌「LaLaLa FIGHTERS」は、親戚でもあるミュージシャンの福原美穂さんらと共に作った曲。「札幌ドームで、美穂ちゃんが歌う曲を聴いた時は感慨深かったですね。あのスタジオで作った曲が、こんな風に流れているんだ!って、作り手ならではのヨロコビに浸りました。選手の登場曲が僕の演奏した作品が使われていると嬉しくなります」と、ドームの楽しみ方もミュージシャンならでは。大泉洋さん主演の映画「探偵はBARにいる」の劇中曲ではギター演奏に前面参加するなど、音楽を通じた北海道との関わりも多くあるのだとか。「『探偵はBARにいる』を初めて劇場に観に行った時は、ストーリーだけでなく音楽の使われどころまで気になって、観るのに体力を使いました(笑)。後からここにあの曲が入ったんだ!と知るものもあれば、『大泉君が逃げてるシーン』と、あらかじめ映像を見てイメージしながら演奏した曲もありました。しかも映画の仕上がりは、想像以上に僕のギターが満載で驚きました!」。

故郷を離れて20年以上が経つ福原さんですが、今も道産子魂は健在です。「歌謡祭やテレビ番組に出るときは、いつも北海道代表という気持ちになります。高校野球は当たり前のように北海道代表を応援してしまうので、駒大苫小牧が夏の3連覇をかけた早稲田実業との試合で負けてしまった時は悔しかったですね。よりによって東京代表か!って。マー君には、本当にいい夢を見させてもらいました」と懐かしむ野球好きでもあります。子どもの頃は巨人ファンだったものの、球団の北海道移転と同時に日ハムファンに。「その感覚は、北海道に住んでいるみなさんと同じです。だから僕の音楽には、北海道で培った感性が出ているはず。それが音楽の面白さでもあるんですよね」。だから人の演奏を聴くと、どんな音楽に影響を受けて、どんなプロフィールを持つ人なのかが気になるのだとか。それは趣味のワインも同様。大好きなワインを通して、その国の気候風土や作り手のことが気になるのだそう。何かを通してその本質を探してしまう、感覚派でありながら理論派の一面が垣間みられるエピソードです。

「今の夢は、死ぬまで演奏すること。」


「今の夢は、死ぬまで演奏すること。このままいくつまでできるか挑戦したいと思っています」。年と共に経験を積むにつれて音楽の”見え方”が変わり、さらにおもしろくなってきたといいます。「50歳、60歳、70歳のときに見える音楽の景色に興味が出てきたんです。辞めることは簡単だけど、継続することは本当に大変なこと。でも、続けてきた人しか見ることのできない音楽の景色が見てみたいと思うようになりました。先輩ミュージシャンに絶対的にかなわないのは、経験値と歴史です。いくら技術と知識があっても、これだけは逆立ちしてもかなわないもの。だから、若い人にもやり続けることの大変さと面白さを伝えていきたい。でもこればかりは、本人だけが心で見たり聴いたりできるものなんですよね」。かつてナンバー1に憧れた時代から、自分に合った仕事が見つかって良かったとしみじみ振り返る年代に。若いワインが年とともに深みと香りを増すように、福原さんの音楽もまた味わい深く熟成していくのでしょう。












♫ ♪ message from コブクロ

福原さん、通称福ちゃんは、コブクロのレコーディングからツアーまで、いつも最高のギターを弾いてくれる頼りになる兄貴で、バンドの中ではシュールでコミカルなムードメーカーでありながらも、常に新しい音へのこだわりは半端じゃない、いわば、ギターを取ったら何も残らない(笑)と言っても過言ではない!?そんな福ちゃんのサウンドが、僕等は大好きです。北海道が産んだ、世界のギタリストでしょう。



and MEG Books



「今回は東京・目黒に飛んだ取材班。
撮影中に弾いていただいた曲、Miles Davisの「So What」
一瞬にして、その場の雰囲気がより魅力的に。
極上の時間をありがとうございました。センス最高です!」
Editor in Chief / KAZUE OKAWA

「納得ゆくまで日々チャレンジしてる人の笑顔でした。
優しさも厳しさも、まずは強さからなんだって、思いました。
ステキな出会いをありがとうございました!」
Photographer/MASAYO YAMAMOTO

「その場の空気をつかむ早さは、
さすが無限の空間を奏でる方ならではだと思いました。
もっと曲を聴いてみたい、そう思わせる方でした。」
Art Diector / KEIKO AKATUKA


「初めてお話しをしました。
演奏から想像していたキャラクターと、おだやかな語り口のギャップ。
ものすごく奥の深い方なんだろうな、と思いました。
北海道出身と聞いて、道民の私、なんだか勝手にうれしくなりました。」
Copywriter/SAORI FUSE



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